ケルブとルシファー
御使いたちが創造されたのが天地創造以前であったことは、ヨブ記38章からうかがい知ることができる。
>わたしが地の基を定めたとき、あなたはどこにいたのか。(中略)明けの星々がともに喜び歌い、神の子たちがみな喜び叫んだときに。(ヨブ38:4-7)
しかしケルブやルシファーの堕落も天地創造以前であったという根拠はない。
【ケルブに関して】
>あなたの行いは、あなたが創造された日から、あなたに不正が見いだされるまでは、完全だった。あなたの商いが繁盛すると、あなたのうちに暴虐が満ち、こうしてあなたは罪あるものとなった。そこで、わたしはあなたを汚れたものとして神の山から追い出した。(エゼキエル28:15-16)
堕落した御使いの長の記事としてエゼキエル28章の12節から19節が挙げられることがある。
そしてアダム以前にエデンに住んでいたことから、再創造論の根拠ともされている。
このエデンは御使いの長ケルブの堕落により破壊されたと。
ケルブに見いだされた不正は商いに伴う暴虐であった。
堕天使ケルブは海上交易国家ツロ
と重ね合わせになっている。
ケルブの場合、
堕落の原因である「商い」が天地創造以前であった
とするには無理があろう。
【ルシファーに関して】
>おまえは心の中で言った。「私は天に上ろう。神の星々のはるか上に私の王座を上げ、北の果てにある会合の山で座に着こう。密雲の頂に上り、いと高き方のようになろう。」だが、おまえはよみに落とされ、穴の底に落とされる。(イザヤ14:13-15)
この堕落した御使いがルシファー。
罪状は<いと高き方のようになろう>と思ったこと。
堕天使ルシファーの落ちた先はよみの穴の底。
堕天使ルシファーはバビロン
と重ね合わせになっている。
ルシファーの堕落の時期については古来の伝承ではアダム以降とされている。
親の愛情を一身に受けていた一番目の子が、次の子が産まれ親の愛情が奪われ嫉妬したかのように
アダムに嫉妬した
という堕落。
そしてヘビを手下にしてエバを誘惑したのだと。
つまり、再創造論者の主張する堕落した御使いは、
ケルブやルシファーといった聖書(外典も含めて)に痕跡のある御使いではない
ということ。
新グノーシス派とでも呼ぶべきか?